義務教育の段階に相当する普通教育の機会の確保に関する法律案

「多様な教育機会確保法」が国会上程に向けて動いています。

この法案の「実現する会」の初期からかかわって動きを見守ってきました。

親の会などで作っている全国ネットワークでも紆余曲折がありまだまだ意見がそろっているとは言えない状態ですが、国会上程の予定も決まりつつあるようです。

成立しても地方では都市部のようにすぐに運用できる状態ではないことは明らかです。

学校などでどのように理解され、運用されていくかも注視していかなければなりません。

しかし、成立した法案を上手に利用し、不都合なところは改正していくことができるように支援体制を作っていくことが大事ではないでしょうか。

この法律を利用して「不登校ビジネス」が盛んになってくるかもしれません。

「子どもを尊重する」支援者ばかりではないと思います。

不登校児を「どのような立場・考え方」で支援していくのが良いのか、また保護者として「どのような支援を望むのか」をしっかり考えていくことが必要だと思います。

朝日新聞から・・・

「学校外で義務教育」18年にも新制度 自民慎重派容認

2015年11月13日05時01分

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不登校の子どもたちがフリースクールなど小中学校以外で教育を受けた場合でも、義務教育の修了を認める議員立法自民党議員連盟がまとめた。野党も大筋で同意しており、超党派で来年の通常国会に提出する。法案が通常国会で成立すれば、2018年4月にも新制度がスタートする。

法案名は「義務教育の段階に相当する普通教育の機会の確保に関する法律案」。全国に約12万人いるとされる不登校の児童・生徒のうち、いじめなどで学校に通えない子どもの学習を支援するのが目的だ。法案が成立すれば、義務教育の場を学校に限った1941年の国民学校令以来、教育制度の大転換となる。

 法案では、不登校の子どもについて、保護者が市町村の教育委員会に対し、「一定期間、学校に在籍したまま学校に出席させないことができる」よう申請。教委が認めた場合、原則では籍を置いた小中学校での卒業をめざしつつ、フリースクールや、学校復帰のために教育委員会が設置する教育支援センター、家庭学習など学校外での教育も認める。

学校への復帰を目指す場合、籍を置いた学校の教育内容を踏まえた「個別支援方針」を市町村教委が作る。子どもは教委の支援を受けながら学習を進める。

 どうしても学校への復帰が困難な場合は、保護者が「学習方針」を作ることを認める。市町村教委がこれを承認した上で子どもの学習を支援し、義務教育の修了を認定する。この際、在籍校の卒業証書は得られないが、高校進学はできる。

 フリースクールを認める法案は今年5月、自民、民主、公明などの超党派議連が原案をまとめた。だが、自民党内で「不登校を助長し、学校制度が形骸化する」といった懸念が高まって法案が了承されず、国会提出が見送られた。今回は学校への在籍を前提とするなど原案を修正し、自民の慎重派も容認に転じた。

 安倍政権は看板に掲げる「1億総活躍」政策の中でフリースクール制度の整備を位置づける方針だ。(小野甲太郎、石井潤一郎) 

http://digital.asahi.com/articles/ASHCD5VLJHCDUTFK00J.html?rm=434

義務教育の場、選択肢拡大 都市部に施設偏在 フリースクール法制化

2015年11月13日05時00分

不登校の子どもたちが通うフリースクールや家庭での学びを、義務教育制度の中に位置づける法案を自民党議員連盟がまとめた。制度が導入されれば約12万人とされる不登校の小中学生に対して、「学校外での義務教育」への道を開くことができる。ただ、学校や教育委員会の負担が増えるのは確実で、支援態勢の整備も急務となる。▼1面参照

 「昨年、フリースクールや中学校の夜間補充教育を視察した」。安倍晋三首相は4日に首相官邸であった政府の教育再生実行会議で、フリースクールについてこう切り出した。首相は「1億総活躍社会を実現していく。これは、子どもたちが個性や良さを生かすことができる社会をつくることだ」と語り、政権の看板政策の中で支援を進める考えを明確にした。

 フリースクールは現在、不登校の子どもたちの大きな受け皿となっている。民間が運営し、多くは平日に教育相談や体験活動、学習指導などをしている。文部科学省が確認するフリースクールなどは全国に474カ所ある。

 今年3月の文科省による実態調査結果によると、在籍する子どもが20人以下の施設が約8割を占める。会費は月単位で集める施設で平均月3万3千円だったが、5千円未満や5万円以上も各1割あった。学びの内容は個別学習やスポーツ、調理などのほか、子ども同士のミーティングを採り入れる施設も少なくない。都市部に偏在しており、東京都内には54カ所あったが、岩手、群馬、石川、福井、高知の各県は1カ所ずつにとどまった。

 学校教育法は義務教育の場を小、中学校と中等教育学校、特別支援学校と定める。不登校の増加を受けて1992年、当時の文部省はフリースクールで勉強した場合も在籍校の校長の判断で出席扱いできるよう通知した。ただ、フリースクール自体が制度として認められておらず、あいまいな状態が続いている。

 ■教委・学校、態勢整備が急務

 不登校の小中学生は、ここ20年近く10万人を超え続けている。それでも義務教育の場は学校に限られる。不登校経験者の一人は「フリースクールがあっても社会に認知されていないのは地獄だった。一般の学校に行かない子はいないものとされてしまう」と語る。

 政府は近年、フリースクールに注目してきてはいる。教育再生実行会議は昨年7月、フリースクールを教育制度に位置づけるよう検討することを提言。文科省も今年1月、フリースクールに通う子どもへの支援のあり方を考える有識者会議を設置した。

 こうした機運を受けて、今年5月に超党派議連が学校に在籍せずに学校外で学習することを認める法案をまとめた。だが、自民党内の慎重派から「子どもの虐待の有無や健康状態、生活実態などを把握できない」「教育の質が保てるのか」といった懸念が相次いだ。

 今回の法案は、学校への在籍を条件とすることでフリースクールなどを容認した。ただ、実際に制度を導入する際は、教育委員会や学校の負担が増す。法案では、学校への復帰を目指す子どもに対し、市町村教委が学校の教育内容を踏まえた「個別支援方針」を作るとしたが、ある自民党議員は「教委にノウハウはないので、実際には教員が作ることになる。新制度に携わる教委や学校のスタッフの育成を、早急に検討する必要がある」と指摘する。

 そもそも「個別支援方針」などの作成や学校への在籍を必須としたことが、不登校の子や保護者に受け入れられるかどうかも未知数だ。(小野甲太郎、片山健志)

http://digital.asahi.com/articles/DA3S12064595.html?rm=150