「NHK 不登校追跡調査」で思うこと その�B

昨日のつづき。

Q9.3つめの人間関係づくりが苦手というのは、どういうことなのでしょうか?

A9.卒業後も人間関係に不安を感じているということなんです。不登校だったことが中学校卒業後現在までどう影響しているか4項目について尋ねました。

「他人とのかかわりに不安を感じることがあった」と答えた人が75%ともっとも多く、他人との関わりへの不安が大きくなっています。「受験や仕事などで苦労した」が大幅に減っているのに対し、かなり増えていて、世の中人間関係が希薄になったと言われる中、人づきあいが苦手な若者にとって他人との関わりが重くのしかかっていることを示しています。

 

Q10.そうした若者にどういった支援が必要なのでしょうか?

A10.ヒントになる答えがあります

中学校3年生の時にあればいいのにと思ったことを振り返ってもらったところ「こころの悩みについての相談」と並んで「自分の気持ちをはっきり表現したり、人とうまくつき合ったりするための方法についての指導」という答えが3人に1人の割合にのぼりました。

振り返ってみると、もともと人づき合いが苦手なところに加えて、学校を休んでしまい人とつき合う場面がなくなってしまったことで、苦手な人づき合いを克服する機会さえなかったことを反映しています。不登校になった後、職に就かずにいる若者の支援にあたっている人たちに聞きますと、こうした若者の多くは人と目をあわせたり、挨拶したりする機会がなかったのか、心の中では人と交わりたいという潜在的な思いはあるものの、一歩を踏み出せないでもがいているようだと言います。

 

Q11.これから必要だと思うことはどんなことですか?

A11.悩める若者の背中をそっと押してあげる、優しいまなざしで。そうした支援です。

一口に不登校といっても、それぞれ違う悩みを抱えていますので、これだと決め手になる対策を見つけるのは難しいと思います。不登校の引き金になるいじめや体罰をなくす努力はもちろんですが、不登校のその後の支援は案外手薄です。自分で少しでも前向きに人生を開きたいと考えている若者を自分で立ち上がれるようにする。若者自身が自分で立ち上がって、前に進もうとするのを大人が支える。ひいては、いずれ社会がそうした若者に支えられることになる。あせらずに長い目でやさしく見守り支える余裕が周りの大人には必要なことだと思います。

pict:symbol2子どもたちがつまずいた人間関係。本来ならば大人たちが小さい時から生活の中で育んでいくものではないか。

悩みが話し合えるだけの信頼関係が、家庭でも学校でも作られていないことが問題なのではないのか?

一緒にいる家族だから信頼関係ができているとか、学校の担任だから信頼されていると思っている教員とか、一方的に大人が思い込んでいるだけかもしれないことをもっと自覚するべきだと思う。関係性を作ることには努力が必要だ。立場が信頼を生み出すわけではない。

不登校への支援は30年近く何も変わっていない。

心理の支援やカウンセラーの配置、医療、スクールソーシャルワーカーの配置など行われてきたが、その先にはいつも「学校復帰」がある。本人の意思に関係あろうがなかろうが、支援の先には学校が待っている。

大人たちの思いに苦しめられている子どもたちは、そんな大人たちからの支援を受け入れられるだろうか。

大人に求められていることは何なのか?