教育機会確保法案 成立へ

朝日新聞】2016年11月23日13時46分

不登校の子支援法案、成立へ 「校外で義務教育」は削除

http://www.asahi.com/articles/ASJCQ5373JCQUTIL04W.html

フリースクールなど、学校以外の場で学ぶ不登校の子どもの支援を目的にした教育機会確保法案が22日の衆院本会議で可決され、今国会で成立する見通しが強まった。当初は、学校外での学びを義務教育制度に位置づけることをめざしたが、反対論が根強く、この部分を削除する大幅な修正が行われ、可決された。

 本会議では、自民、公明、民進日本維新の会が賛成し、共産、自由、社民が反対した。

 法案は、全ての子どもが安心して教育を受けられるよう学校の環境を確保▽不登校の子が行う多様な学習活動の実情を踏まえ、個々の状況に応じた必要な支援が行われるようにする、などの基本理念を明記。国と自治体は、学校以外での「多様で適切な学習活動」や「休養の必要性」を前提に、子どもや保護者に情報提供などのための措置を講じるとした。

 また、不登校の子の教育機会確保のための施策を国、自治体の「責務」とし、「必要な財政上の措置を講じるよう努める」とした。不登校の子に配慮した教育課程の「不登校特例校」や、学校復帰の指導をする自治体の「教育支援センター」の整備に努めることも掲げた。

 義務教育を受けられなかった人向けに、夜間中学などで就学の機会を提供することも盛り込んだ。

 超党派議員連盟がまとめた当初の法案は、不登校の子がフリースクールや家庭で学ぶことを義務教育として認める内容だったが、一部の政党から「学校に行かないことを助長する」などの反対論が出た。不登校の子の支援団体からも批判があり、この部分が削られた。

 

 関係者の反応は割れている。2009年から法律制定を求めて活動してきたNPO法人東京シューレ」理事長の奥地圭子さんは「休養の必要性や学校外の学びの多様性が盛り込まれた。子どもを『今のままでいい』と後押ししてくれると期待できる。(フリースクールを義務教育に位置づけるなど)いろいろな学びを選べる法案にはならなかったが、どれを選ぶか明るく話せる時代の扉は開いた。ゆくゆくは選ぶことが可能な形にしていきたい」と話す。

 一方、「不登校・ひきこもりを考える当事者と親の会ネットワーク」世話人の内田良子さんは「不登校はだれにでも起こりえるのに、不登校の子を法で定義することで不登校への否定的なまなざしを強め、差別を生む」と法案に反対。「なぜ不登校が増えるのか、文部科学省の対策や学校、教育環境の検証が先決だ」とする。23日には、東京都内で反対集会が開かれる。(片山健志)