2月5日 朝日新聞 子どもを見守る3人に聞く

朝日新聞】2016年2月5日05時00分

不登校…そのときどうする 子どもを見守る3人に聞く

http://www.asahi.com/articles/DA3S12194598.html

 2014年度の不登校の小中学生は約12万人。新たに不登校になった割合は過去最高だった。親は、子どもが学校を休みがちになった時、不登校になった時にどうすればいいのか。不登校の子どもを見守ってきた3人に聞いた。

 ■無理せず、ゆっくり休もう 弁護士・多田元さん

 不登校の子と親を支える弁護士の多田元(はじめ)さん(72)は「無理して学校に行く必要はない。ゆっくり休んでパワーをため、自分の道を選んでほしい」と話す。

 不登校になった子どもは親との関係に安心感を求めるため、親の対応も大切だ。「親が不安になったり右往左往したりすると、子どもは『学校に行かない自分はだめなんだ』と自己評価を下げてしまう」

 多田さんは、中学1年から不登校になった長男(42)に、「なぜ学校に行かないんだ」と叱ってしまった反省がある。

 インターネットには情報があふれ、不安や焦りが親の判断力を曇らせることも。子どもに黙ってフリースクールを契約するなど同意なしの行動はトラブルの元。中には「あなたの育児は失敗。あなたでは解決できない」と不安をあおる「ブラックフリースクール」もある。

 親が勝手に契約した団体で共同生活をした男子生徒から「団体から『ルールを守らなかった』として数千万円を支払うよう要求され、バイト代を巻き上げられた」という相談もあった。国民生活センターによると、「親の霊が不登校の原因で、除霊に200万円かかると言われた」といった相談もある。

 多田さんは「子どもの意思を無視すると子どもの信頼を失う。一緒に考えながら進むプロセスが大切」と話す。

 ■「行ける方法」親子で考えて 復学を支援する水野達朗さん

 不登校の子どもの復学を支援する家庭教育支援センターペアレンツキャンプ(大阪市)代表の水野達朗さん(36)は「子どもから『今日、学校に行きたくない』と言われた時、親がすぐ『学校に行かなくていいよ』と不登校を決めるのはよくない」という。

 一度休んでしまうと、学校に行きづらくなり、行きたいと思っても行けなくなってしまう。勉強の遅れも生じる。

 子どもに、なぜ行きたくないのかを尋ね「将来、どうする?」と話をする。そして、将来の目標のために具体的に必要なことを一緒に考えるのがいいという。

 もちろん、無理に学校に行かせると命の危険もある。子どもとよく話すことが大切という。

 14年間で支援したのは500家族。親が過干渉で、子どもにアドバイスの押し付けをするケースが目立つという。

 まず親に対して、子どもの自立を育む方法をアドバイスする。その後、訪問カウンセリングで子どもと話す。時間をかけて話を聞くと「本当は行きたいけどどうしていいかわからない」と訴える子が多い。学校と連絡を取り合うなどして子どもが復学しやすい環境を整える。早期に対応すれば大半が学校に再び通い始めたという。

 水野さんは「学校は、人間関係や社会性を学び、自立する力を身につけられる場だ。安易に行かない選択をせず、学校に行ける方法を親子で考えてほしい」と話している。

 ■親は一人で悩まず、相談を 中1の息子が不登校の母親

 中学1年の息子(13)が不登校の母親(50)は「親に余裕がないと、子どもの相談に乗れない。ひとりで悩まず、親の会やフリースクールなど信頼できるところに相談してほしい」と話す。当初、相談できる友人もおらず孤独だった。息子と一緒に家にこもりがちになり、学校帰りの子どもたちの声が聞こえる度に泣いていた。

 息子は小学3年の時、学校に行けなくなった。引きこもりになるのでは、と焦った。運動クラブに通わせてみたり、復学を支援する教育支援センター(適応指導教室)に行かせたりした。だが、続かなかった。

 小学4年の時、突然「僕は死にたい」と涙ながらに言われ、混乱した。不登校の子を持つ親の集まりに行くと「育て方が悪い」と言われるのでは、と不安だった。だが、話を聞いてもらうと心が軽くなり、涙が止まらなかった。ゲームばかりする息子を心配していたが、最近は一緒にゲームをして盛り上がるようになった。息子は今、フリースクールに通う。

 「個性豊かな息子には学校は合わなかった。あなたのままでいいのよ」と思える。

                             (貞国聖子)

  

 多田元さんは、会でも何度か講演に来ていただいて、いつもスキッとおなかに落ちるお話を聞かせてくださいます。息子さんの経験がおありなので勇気をいただけるお話です。少年事件の弁護や不登校ビジネスに巻きこまれた青年たちの支援をされていいます。

 2番目の水野さんとは面識がありませんが、学校内で教師はこのような考え方が多いと感じています。おそらく多くの保護者・ご家族もこのように考えているでしょう。学校では、不登校になってしまうとお手上げの教師、子どもを追いつめる教師、学力以外の生活の部分の指導が何もできない教師などもいます。学校内にいる第3者(スクールソーシャルワーカー)として、将来への問題をともに考え支援することを心がけ、「子どもの最善の利益」を追求してゆきたいと思っています。

 私は親の会では「どうすれば復学するのか?」「育て方が悪い」などは話しません。

子どもさんと過ごす毎日の生活で思うこと、心配なことを話して、ご自身で気持ちの整理をしていただく場として使っていただきたいと思っています。

だいたい参加者は「うちも同じです〜」というお話になります。

我が家だけ、自分一人だけがこんな思いをしているのではないということを知っていただくことで、明日からの元気が湧いてくると思います。

広島では相談先などまだ少ないですが、「誰か」と話すことで見えてくることも多いと思います。

(新級や進学のご相談もお受けします。発達障害特別支援学級についてもお話しできます。)